インナーブランディングとは?重要性や具体的な手法について徹底解説!事例も紹介!
-
投稿日
-
更新日
- ブランディング

インナーブランディングとは?
インナーブランディングは、企業や組織が自社のブランド価値や理念を従業員に対して浸透させ、理解と共感を深めてもらうための活動やプロセスを指します。企業文化の形成や組織力の強化、従業員のモチベーション向上、業務効率の改善を図る取り組みとして、多くの企業で実践されています。
なぜインナーブランディングは重要か?
昨今のビジネス環境は急速に変化しており、そうした中で事業の成長を持続させるには、絶え間ない進化と革新が求められます。そしてこれを実現するためには、組織全体でビジョンや課題意識、ベクトルを共有し、全社一丸となって取り組んでいける「組織力」の強化が、かつてないほどに重要性を増してきています。
例えば、マーケティング部が新商品のキャンペーンを企画している一方で、営業部では定番商品の販促を推進していたとしたら、顧客や取引先は混乱し、信頼を失う恐れがあります。また、人事や総務といった間接部門が、全社的な目標を理解共有せずに、それぞれの効率性を優先して活動するとどうなるでしょうか?部門間の協働・連携は滞り、組織全体の効率が著しく悪化することになるでしょう。
このように、組織内のベクトルが揃わず各部門がバラバラに動き、無駄な摩擦や混乱が生じている状況では、リソースの無駄遣いやプロジェクトの遅延はもとより、サービス品質の低下や顧客離反といった深刻な事態に陥る可能性が高まります。そうなると、進化や革新に挑戦できる企業風土の形成はおろか、事業の現状維持でさえ容易ではないでしょう。
こうした理由から、自社のブランド価値や理念を浸透させ、足並みを揃えて共通の目標に取り組んでいけるように働きかけるインナーブランディングは、現代の企業にとって極めて重要性の高い取り組みとして、多くの企業が実践しているのです。
ブランディングとインナーブランディング
ブランディングとは、ターゲット顧客に対して様々なタッチポイントを通してブランドを訴求していく活動を指します。タッチポイントというのは、WEBサイトや広告、イベント、パンフレット、カスタマーサービスなどといった、顧客がブランドに触れるあらゆる接点のことで、商品・サービスはもとより、従業員もタッチポイントに含まれる。こうしたタッチポイントを通して、ターゲット顧客に一貫性を持ってブランド価値を伝え、顧客体験として提供していくことが、企業を強くするブランディングなのです。
外部ターゲットに対するブランディング(「エクスターナルブランディング」とも呼ばれる)を成功させるためには、インターナルブランディングは不可欠です。なぜなら、一貫性のある顧客体験を提供するには、さまざまなタッチポイントで、足並みを揃えてブランドが具現化されていなければならないからです。さまざまな部門にまたがる関係者が、ブランドを理解せず、それぞれのやり方や考え方で業務にあたるようでは、そのアウトプットとしての顧客体験に一貫性がないのは当然であり、一貫性がないブランドは、顧客から見た時、特徴がわかりづらく、信頼性が乏しく、印象にも残りづらくなります。
一貫性のある顧客体験を提供していける体制があってこそ、効果的なブランディングを展開することができます。同時に、外部に向けたブランディングの成果を社内にフィードバックしていくことで、従業員のモチベーションが高まり、自社ブランドの一部としての自覚と誇りを持ち、組織全体のパフォーマンスが向上します。
インナーブランディングの事例
このように事業の成功・発展に不可欠なインナーブランディングは、多くの企業で実践されています。以下に、インナーブランディングに取り組む企業の成功事例をいくつか紹介します。
Apple
2007年、AppleはiPhoneを売り出すに当たって、全従業員がiPhoneのブランドビジョンや戦略、ブランド価値を深く理解し、一丸となって一貫したブランド体験を顧客に提供するために、本格的なインナーブランディングに取り組みました。
発売前の期間、時間をかけて社内イベントやトレーニングを実施し、従業員にiPhoneの特徴や価値を伝え、イントラネットや社内メールを使って、iPhoneに関する情報を発信し続けて、従業員の意識を高めました。また、スティーブ・ジョブズをはじめとする経営陣が自らiPhoneの価値を伝え、従業員に対してその重要性を強調しました。
そうした努力により、Appleではエンジニアからマーケティング担当者まで全員が一丸となって、iPhoneブランドの価値の具現化に取り組んでいます。製品はもとより、Appleの店舗や従業員を通じて提供される顧客体験に、AppleのiPhoneならではの魅力が一貫して提供されています。
世界的な大成功を収め、Appleを今日の地位にまで飛躍的に向上させたiPhoneですが、その背景には、このように徹底したインナーブランディングへの投資があることも見逃せません。
ユニクロ
ユニクロは、従業員がユニクロのビジョンや価値観を理解し、それに共感しながら働ける環境づくりを重視し、従業員をファン化して組織に一体感を生み出すインナーブランディングに取り組んでいます。
ユニクロは、従業員がファンとなり、自信と誇りを持って自社製品を推奨できるよう、従業員向けの教育プログラムを徹底したり、従業員のキャリア成長支援を通して従業員のモチベーションを高め、その先にいる顧客の満足度を引き上げることに成功しています。このように、ユニクロは従業員のエンゲージメント向上を通して、ブランド力の強化に繋げています。
インナーブランディングの実践方法:具体的な進め方や手法について
ブランド力を高め、企業価値を向上させていくために不可欠なインナーブランディングですが、ではどのように取り組んでいくのでしょうか?
ブランド戦略の明確化
インナーブランディングで第一に必要なことは、ブランドのビジョンや提供価値といった戦略的重要事項を明確化することです。そのためには、自社の志や価値観、強みや特徴を整理し、市場や競合の動向理解、ターゲット層のプロファイリングも自ずと必要になってくるでしょう。そのような分析インサイトをベースにしたブランド戦略を、組織内でわかりやすく共有できるように、ブランドストーリーやムードボードとして明文化、可視化してまとめあげることが必要です。
多様な方法による情報発信
ブランド戦略を社内に伝えていく効果的な方法は、企業によって様々ですが、代表的な方法をいくつかご紹介します。
経営層からのメッセージ発信
経営層からのメッセージは注目度が高く、従業員に対する影響力も大きいため、ブランドの重要性や方向性を従業員に伝えるために不可欠です。経営層がコンスタントにメッセージを発信し、意欲的にブランディングに取り組んでいる姿を見せていくことで、従業員の意識が変わり、具体的な行動変容へとつながっていきます。
ブランドブック
自社ブランドを従業員が自分のペースで理解できるよう、冊子にまとめます。従業員向けだからと簡素なビジネス文書にまとめるのではなく、従業員をターゲット顧客と同様に捉え、興味関心を持ってもらえるよう、誰にでもわかりやすく共感できる言葉とビジュアルを工夫して作成しましょう。紙製の印刷物であれば、手元に置いておきやすいコンパクトなサイズがおすすめです。デジタルコンテンツとして仕上げるも良いでしょう。
成功事例の共有
社内ニュースレターやイントラネットを活用して、ブランドに関する成功事例や顧客からのフィードバックを共有しましょう。広告やメディアの掲載情報も、従業員の関心を高めモチベーションアップに繋がります。
オフィス環境の活用
オフィスのデザインやレイアウトを工夫し、ブランドメッセージを視覚的に伝えることで、日常的にブランドを意識できる環境を作ります。例えば、ブランドカラーを取り入れたインテリアや、ブランドのスローガンを壁面に書いたりすることで、従業員の意識を高めることができます 。
双方向のコミュニケーション
一方通行の情報発信だけでなく、共に考え意見を交わせる機会を同時に設けることで、効果的に社内浸透をはかっていくことができます。
研修やワークショップ
意見交換やグループワークができる研修やワークショップは、インナーブランディングには不可欠です。従業員のブランドへの理解や関心は部門や立場によっても異なるため、それぞれに合った内容となるよう、部門やポジション別のプログラムを開催すると良いでしょう。
社内SNSの活用
従業員が気軽に情報を共有し、意見交換ができる場として社内SNSを活用することも有効です。そこでブランドに関連するトピックや成功事例を紹介していくことで、従業員の共感も得やすくなります 。
ブランドアンバサダーの任命
各部署からブランドアンバサダーを選出し、ブランドの価値観やメッセージを社内に広める役割を担ってもらいます。ブランドアンバサダーは、定期的なミーティングを通じてフィードバックを共有し、インナーブランディングの効果を高めるためのアイディアを出し合います。
成果進捗のモニタリング
インナーブランディングにおいても、KPIを設定して施策の成果進捗を測定し、PDCAサイクルを回していく必要があります。社内アンケート調査を定期的に行い、ブランド戦略がどの程度浸透しているのか、どの部門で停滞しているのか、どういうボトルネックがあるのか、といったことを評価把握し、具体的な改善策を打っていきます。同時に、インナーブランディングの成果が、顧客価値に反映されていることを確認することも重要です。口コミをチェックしたり、顧客調査を行って顧客のフィードバックを集めます。また、ミステリーショッパー調査を実施して、店舗やカスタマーセンターのサービス品質をブランド観点でチェックするのも良いでしょう。こうして得たフィードバックや発見は、経営層やブランド担当者だけでなく、全ての従業員と共有していくことで、社内の士気向上、組織力強化へと役立てていきます。
まとめ
インナーブランディングは、企業の成功に不可欠な要素であり、組織全体の一体感を高め、従業員のエンゲージメントを向上させるための重要な取り組みです。従業員がブランドのビジョンや価値観を理解し、共感することで、顧客に一貫性のあるブランド体験を提供できます。このプロセスを通じて、企業は内外のステークホルダーからの信頼と評価を得ることができ、ブランド力を高め、持続可能な成長を遂げることができるのです。市場の競争と進化の速度が増す昨今、インナーブランディングの重要性はますます高まっていくでしょう。
無料でWEBマーケティングの
ノウハウをお話しています
WEB集客やネットショップ運営などでお悩みがあれば一度ご相談ください。ご相談は無料で行なっております。
通販お役立ち資料無料ダウンロード
この記事を書いた人

株式会社ALL WEB CONSULTING
木戸 彩子()
マーケティングチーム
ALL WEB CONSULTINGのマーケティングチームです。
全国のネットショップをエンパワーメントするをミッションに、各専門家が集まってECサイトの支援を行っています。楽天・Amazonなどのモール系ECから自社ECまであらゆるECに役立つ情報を発信していきます。