お宝データ眠らせてませんか? ネットショップの受注データからできる分析方法一覧
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- 自社ECコンサル記事
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みなさん、こんにちは。
株式会社ALL WEB CONSULTING代表の江守です。
私は過去に数百サイト以上のECサイトでサイト分析、戦略立案、売上向上のためのアドバイスを行ってきました。
今回はネットショップで売上を上げるために重要となる受注データを使った分析方法についてご紹介します。
受注データはお宝の山です。受注データをしっかり分析し活用していくことで売上向上に非常に役立つデータが取得できます。
受注データをしっかり活用・分析しネットショップの売上向上に役立てていきましょう。
ネットショップの受注データから取得できる項目一覧について
ネットショップの受注データからは下記のように多くの貴重なデータを取得することができます。
受注データから分析できる項目一覧
- LTV(顧客生涯価値)
- RFM分析
- デシル分析
- 商品別のリピート率
- 初回購入者(新規顧客)のリピート率
- サイト全体のリピート率
- お試し商品からの引き上げ率
- パレート分析
- ABC分析
- バスケット分析(同梱分析)
- 顧客セグメントごとの初回購入商品
- 初回購入商品
- F1→F2転換分析
特に特殊なツールなどを導入しなくてもエクセルで十分分析可能です。
(データの取得方法については別記事で詳しく解説します)
それぞれの項目について紹介していきましょう。
LTV(顧客生涯価値)
LTVとはLife Time Valueの略で顧客生涯価値と訳されます。
こちらは一人の顧客から生涯に渡って得られる利益のことを指します。
受注データを使うことによって一人のユーザーがあなたのショップで過去にどれくらいの金額を購入したか分析することができます。
LTVがわかれば一人のユーザーを獲得するにあたってどのくらいのコストを投下すべきか明確になります。
また、現状のLTVを把握することでそのLTVをベンチマークしさらに伸ばしていくための施策を考えていくことが重要です。
その際もLTVがわからないと施策の評価ができないためLTVを把握しておくのはかなり重要だといえます。
LTVの計算方法についてよく使われる計算式は下記になります。
リピート商材の場合
LTV=購入単価×購入回数×継続期間
B to B向けの商材の場合
LTV=顧客の年間取引額 × 収益率 × 顧客の継続年数
サブスクリプション型の商材の場合
LTV=顧客の平均単価×粗利÷解約率
一般的な商材の場合
LTV = 顧客の平均購入単価 × 平均購入回数
LTVを最大化するためには下記を改善していくことが重要です。
- 顧客の購入単価を高める
- 商品の粗利率を高める
- 顧客の購買頻度を高める
- 顧客の取引期間を延ばす
- 顧客の獲得・維持コストを下げる
具体的には次回使えるクーポンの発行や同梱物での次回購入への導線を強化、メルマガやLINEでの追客などを行い購入頻度、リピート率を改善したりサイトの改善や広告の見直しを行い、新規顧客獲得のコストを下げたりなどを行うことが重要です。
RFM分析
RFM分析とは顧客分析の一種であり、Recency (顧客の最近の購入日)、Frequency(顧客の来店頻度)、Monetary (顧客の過去累計購入金額)の 3 つの指標で顧客をランク付けする分析方法です。
受注データを活用することでこのRFM分析も行うことができます。
RFM分析を行うことで常連客がどれくらいいるか、過去の購入から時間が経過してしまっている休眠ユーザーはどれくらいいるかなどを数値化することができます。
購入頻度は多いが前の来店から時間が経過してしまっているユーザーに対してキャンペーン情報や新商品の情報など来店を促すメールを送る、などユーザーをセグメントして顧客とコミュニケーションを取ることが可能になります。
購入頻度、直近の購入日からの経過時間、累計購入金額でランク別でユーザーをセグメントしてアプローチを行うことで反応率は確実に上がっていきます。
ご無沙汰のユーザーにはご無沙汰クーポン、よく来店される方にはいつもありがとうございますなどとメルマガの件名にいれるだけでも開封率があがりそうですね。
RFMで離反ユーザーが多い場合は
- 初回購入後、次回購入につなげるアクション導線が弱い
- メルマガ配信やLINE配信などの追客ができていない
- そもそも初回購入商品に問題がある
など様々な課題が明確になってきます。
下記が弊社で実際に行ったRFM分析の一例です。
こちらのサイトでは全体の約60%のユーザーが1~2回購入で半年以上再来訪がない離反ユーザーとなっております。
離反ユーザーに対しては再来訪を促すようなキャンペーンを行い、メルマガやLINEなどでしっかり追客を行うことが重要です。
1:5の法則といって新規顧客を獲得するには、既存顧客の約5倍のコストがかかるという法則がある通り
リピーターになってしまえばコストは抑えられ、利益率が向上します。
今どれくらいのリピーター(優良顧客)がいるか、離反客はどれくらいかをしっかり把握するためにもRFM分析は非常に重要だといえます。
デシル分析
デシル分析とは、受注データをもとに全顧客の購入金額を高い順に10等分して、各ランク(デシル1~10)の購入比率や売上高構成比を算出する分析方法のことです。
デシル分析を行うことでショップの売上貢献度が高い優良顧客層を知ることができます。
売上貢献の高い優良顧客層を把握することができればそのグループに対して集中的にマーケティング施策を行うことができます。
商品別のリピート率
受注データより各商品別のサイト内リピート率も分析ができます。
初回購入者(新規顧客)のリピート率
新規の顧客のリピート率分析ができます。
新規顧客のリピート率が低い場合、商品やカスタマーサポートに問題があったり購入後のアプローチが弱い、次回アクションにつなげる導線が弱いなどの問題があります。
商材によってもリピート率は目指すべきリピート率は変わってきますのでその商材の基準となるリピート率に達しているかどうかを確認し、
達していない場合は改善を図ることが重要です。
サイト全体のリピート率
受注データを活用することでサイト全体のリピート率も取得することができます。
お試し商品からの引き上げ率
お試し商品などを用意している場合はそのお試し商品購入者が本商品へどれくらい引き上げされたかも分析することができます。
引き上げ率が低い場合、
- お試し商品購入後の顧客とのコミュニーけションが弱い
- 引き上げを促進するためのオファーが無い、または弱い
- お試し商品自体に問題がある
などの課題がある場合が多いです。
引き上げ率を改善していくためにも現状の引き上げ率がどれくらいかを把握することが重要だといえます。
パレート分析
受注データを活用することでパレート分析を行うことができます。
パレート分析とは問題を解決する優先順位をつけるときに使う分析方法で、
構成要素を大きい順に並べた棒グラフと、構成要素の累積比率を折れ線グラフと組み合わせることで、上位の要素が全体にどのくらい占めているのかをみることができます。
ビジネスにおいては物事を重要なものから処理していく、または、改善インパクトの大きいものから着手していくというのがとても重要です。
パレート分析を行うことでそのサイトの売上に大きく寄与している顧客や商品を把握することができます。
これにより商品ページの改善をどのページから着手するか、手厚くする顧客は誰か、など
複数ある課題に対してどこから手を付けていくかの優先順位付けに大いに役立ちます。
バスケット分析(同梱分析)
受注データを活用することでバスケット分析(同梱分析)を行うこともできます。
バスケット分析とは頻繁に購入される商品の組み合わせを見つけるための分析方法です。
有名な事例としては「おむつ」を買う顧客は同時に「ビール」も買っているというのがあります。
この商品を買っているユーザーはこの商品もよく一緒に買っているというのがわかれば、レコメンド機能などで表示を行ったり、それぞれの商品ページへの導線の強化、パッケージ商品の作成などで商品の相乗効果を高めることができます。(パッケージ商品については歯ブラシ+歯磨き粉のセット商品、シャンプー+トリートメントのセット商品などがいい例ですね)
このように同梱されている商品が分かることで複数購入を促す施策を行うことができます。
複数購入が増えれば客単価が向上しますので売上向上に貢献することができます。
顧客セグメントごとの初回購入商品
こちらは顧客のランクごとにその顧客の初回購入商品を分析する方法です。
前述のRFM分析、デシル分析と組み合わせることで可能となります。
例えば購入頻度が高く、累計の購入金額も高い、かつ直近でも購入しているような優良顧客が初回に何を購入しているかを把握することによって
その商品を入口商品に設定し露出強化するといった施策を実行できます。
優良顧客に育成しやすい商品については新規購入顧客を増やすことでリピーター育成につながりショップ全体の売上増加が見込めます。
どの商品が優良顧客育成につながりやすいのか、受注データを分析することで把握することが可能です。
初回購入商品
こちらは2回以上購入しているリピートユーザーが初回に何を購入しているかを分析する方法です。
リピートにつながっているユーザーの初回購入商品を把握することでこの商品を入口商品化します。
広告やSEO対策での露出強化やサイト内からの導線強化を行いこれらの商品の購入につなげ優良顧客育成を図っていきます。
F1→F2転換分析
受注データを活用することでF1→F2転換を分析することも可能です。
FはFrequency(フリークエンシー)の略で、ここでは「購入頻度」を表します。
F2の2は顧客の累計購入回数を表しており、F2転換率は2回目購入する場合の転換率になります。
F1顧客(新規購入者)がどのくらい2回目購入に繋がっているかを分析するもので、商品やサービスへの満足度、新規獲得用のプロモーションの成果、リピート促進施策の効果などを測るための重要な指標となります。
また、ECの世界では3回安定、10回固定という言葉があり3回購入させると安定的にリピート顧客になりやすいというものがあります。
事実、F2→F3、F3→F4と購入頻度があがるにつれ次回購入の転換率も上がってきます。
そのため、いかに3回以上購入させるか、がとても重要になってきます。
こちら把握するためにはF1→F2転換分析を行いどれくらいの顧客が2回以上購入しているかをしっかり把握していく必要があります。
受注データを活用し実際に売上が向上した事例の紹介
受注データを活用し実際に大きく売上が向上した弊社クライアントでの事例を紹介します。
バスケット分析(同梱分析)で客単価が向上した事例
楽天でジュエリーを販売しているショップでの事例です。
バスケット分析を行った結果、メンズとレディースでサイズ展開を行っているとある売れ筋のリングの商品があり、
メンズとレディースを同時に購入しているユーザーが多いということが判明しました。
こちらはカップルでペアでつけたいというニーズが想定されますがページを見ると、メンズページ・レディースページともにそれぞれのページへの導線が無い状況でした。
そこでそれぞれのページへの回遊バナーを設置。
また、商品ページ内にペアでつけている画像とギフト用のラッピング画像も撮影し、こちらも設置しました。
さらにペア購入特典を付け、ペアで購入したら割引、名入れ無料の特典を付けたところペア購入者が増加。
複数購入していただくことによって客単価も向上し売上増加につながりました。
初回購入商品の分析で売上が向上した事例
オーガニック系の食品を販売されているショップでの事例です。
RFM分析で優良顧客を把握しそれらの優良顧客が初回に何を購入しているかを分析した結果、とあるお試し商品であることが判明。
ただ、こちらの商品はページへの訪問数も少なくそもそも見られていない状態だったため、とにかく露出を増やすということを重点的に行いました。
広告の実施、SEO対策、特集ページの制作、その特集ページに対してポップアップバナー表示やメインビジュアルにバナー設置などサイト内の導線を強化などを行い
ページへの訪問数を増やすことに成功。
これによりこの商品の購入数が劇的に向上し売上が増加。
この商品を購入したユーザーのリピート率は想定通り高かったためサイト全体のリピート率が向上し売上の方もあがりました。
各モール、ASPの受注データ取得方法
楽天受注データ取得方法(ダウンロード方法)
RMSトップ>受注・決済管理>1.受注・問い合わせ管理
1.受注管理・受付管理(楽天ペイ)>受注データのダウンロード>データダウンロード
ダウンロードデータ(楽天ペイ)>通常購入データ
データの作成より期間やステータスなどを選択し「データを作成する」をクリック
Yahoo!ショッピング受注データ取得方法
ショップサーブでの受注データ取得方法
ショップサーブでの受注データダウンロード方法は下記を参照ください。
https://help.shopserve.jp/manual/099/
カラーミーショップ受注データ取得方法
カラーミーショップでの受注データダウンロード方法は下記を参照ください
https://help.shop-pro.jp/hc/ja/articles/360062479334
shopify受注データ取得方法
shopifyでの受注データダウンロード方法は下記を参照ください。
https://help.shopify.com/ja/manual/orders/export-orders
受注データをしっかり分析しネットショップの売上向上に役立てましょう
いかがでしたでしょうか?
ネットショップの受注データはこれだけ多くの貴重なデータを取得することができます。
受注データを眠らせることなくうまく活用し売上向上に役立てていきましょう。
株式会社ALL WEB CONSULTINGではECコンサルティングやネットショップサイト分析なども行っております。
無料相談も随時行っておりますのでネットショップの売上向上にお悩みの方は是非一度ご相談ください。
無料でWEBマーケティングの
ノウハウをお話しています
WEB集客やネットショップ運営などでお悩みがあれば一度ご相談ください。ご相談は無料で行なっております。
通販お役立ち資料無料ダウンロード
この記事を書いた人
株式会社ALL WEB CONSULTING
代表取締役
江守 義樹(えもり よしき)
WEB解析士協会 上級WEB解析士
ネットショップ店長として0ベースからショップ運営を行い約1年で月商1,000万規模のショップに育成。
その後、ECサイト専門のコンサルティング会社に勤務し、月商数億規模のサイトから立ち上げたばかりの小規模なサイトまで数百社のECサイトのサポートを行う。
2018年に前身であるLOCUSコンサルティングを創業。
2020年ECサイト・ネットショップ支援に特化した株式会社ALL WEB CONSULTINGを創業し代表取締役に就任。
データアナリストとしてサイト解析を軸にした戦略的なSEO対策、サイト制作、WEBプロモーション、などEC支援全般のスペシャリストとして活動中。
マーケティングチーム
ALL WEB CONSULTINGのマーケティングチームです。
全国のネットショップをエンパワーメントするをミッションに、各専門家が集まってECサイトの支援を行っています。楽天・Amazonなどのモール系ECから自社ECまであらゆるECに役立つ情報を発信していきます。