AI Overviewsでサイトへのクリックは約4割減|1,065人のフィールド実験で判明した影響と、ECサイトが今すべき対応
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株式会社ALL WEB CONSULTINGのSEOタイムズでは、Googleの公式発表や検索アルゴリズムの最新動向を日々追いかけ、最新のSEO情報を更新しています。本記事では、その中でもECサイトやサイト運営に本当に影響する重要なトピックを厳選し、実務目線でわかりやすく解説します。
GoogleのAI Overviews(AIによる概要)が表示されると、検索結果から外部サイトへのクリックはどれくらい減るのか。この問いに、ランダム化したフィールド実験で答えた研究が注目を集めています。
結果は「AI Overviewsが表示された検索では、外部サイトへのオーガニッククリックが約39.8%減少」、一方で「ユーザーの満足度には差がない」というものでした。本記事では、研究の内容と読み方の注意点、そしてECサイトが今なにを確認・対応すべきかを整理します。
この記事のポイント
- インド商科大学院(ISB)とカーネギーメロン大学の研究者が、米国のPC版Chrome利用者1,065人でAI Overviewsを表示する/隠すをランダムに割り当てる実験を実施。
- AI Overviewsが出た検索では、外部サイトへのオーガニッククリックが1検索あたり0.62回→0.37回(約39.8%減)。影響は情報収集型の検索と、検索結果の1位に集中した。
- ユーザーの満足度・情報の質の評価・サイト上での行動(直帰・滞在)には統計的な差が見られなかった。広告のクリックも変わらなかった。
- 米国・PCのみ・2週間という限界はあるが、ECサイトはコラムやガイド記事などの情報系ページから流入の変化を確認し、AIの要約では代替できない情報を強化するのが現実的な対応。

何が起きたのか:AI Overviewsの影響をランダム化実験で測定
研究の概要
今回の研究は、インド商科大学院(Indian School of Business)のSaharsh Agarwal氏と、カーネギーメロン大学ハインツカレッジのAnanya Sen氏による論文「The Impact of Google AI Overviews on Publisher Traffic and User Experience: Evidence from a Field Experiment」です。論文の投稿・研究成果の公開サイトであるSSRNで公開されています。
日本では10月6日に、海外SEO情報ブログ(鈴木謙一氏)が詳しく紹介したことで話題になりました。
研究チームは独自のChrome拡張機能を作り、参加者の実際の検索行動を記録しました。参加者は次の3つのグループにランダムに振り分けられています。
| グループ | 内容 | 人数 |
|---|---|---|
| 通常 | いつもどおりのGoogle検索(AI Overviewsも表示される) | 396人 |
| AI Overviews非表示 | 拡張機能でAI Overviewsをリアルタイムに隠す | 374人 |
| AIモード | すべての検索をGoogleのAIモードへ切り替える | 295人 |
対象は米国のPC版Chrome利用者1,065人で、データの収集期間は2026年1月から2月です。参加者1人あたり2週間、合計で約6万8,000件の検索が分析されました。
これまでのAI Overviewsのクリック減少に関する調査の多くは、表示がある検索とない検索を事後に比べるものでした。今回は同じ条件の人をランダムに分けて「表示の有無」だけを変えた点に、研究としての価値があります。
主な結果
| 指標 | 結果 |
|---|---|
| AI Overviewsの表示率 | 分析した検索の約41% |
| 外部サイトへのオーガニッククリック(AI Overviewsが出る検索) | 1検索あたり0.62回(非表示)→0.37回(表示)。約39.8%減 |
| ゼロクリック検索の割合 | 約54%→約73% |
| AI Overviews内のリンクがクリックされた割合 | 外部クリック全体の約7.1% |
| 広告(スポンサー枠)のクリック | 統計的な差なし |
| 満足度・情報の質・探しやすさの評価 | 統計的な差なし(5段階で4.0と4.0) |
| サイト上での行動(直帰・滞在時間・戻るボタン) | 統計的な差なし |
- 出典:The Impact of Google AI Overviews on Publisher Traffic and User Experience: Evidence from a Field Experiment|SSRN
- 出典:AI Summaries in Search and Their Impact on Publisher Traffic|Indian School of Business
- 出典:Google AI Overviewsでサイトへのクリックが約4割減、満足度は変わらず|海外SEO情報ブログ
なぜ重要なのか:Googleの説明と異なる結果
影響は「情報収集型の検索」と「1位」に集中
研究では、検索の意図ごとにも影響を分析しています。クリックの減少がはっきり出たのは、全体の約7割を占める情報収集型(インフォメーショナル)の検索でした。
一方、特定のサイトに行くための検索(ナビゲーショナル)や、購入・申し込みなどの行動を目的とした検索(トランザクショナル)では、統計的に意味のある差は確認されていません。ただし、これらはサンプル数が少なく、「影響がない」と言い切れる結果ではない点に注意が必要です。
検索結果の順位別では、影響は1位のページに集中していました。1位の結果へのクリックは、AI Overviewsがあると1検索あたり約0.12回、ない場合は約0.23回と、ほぼ倍の差がありました。2位以下では、はっきりした影響は測定されていません。
Googleはこれまで「クリックの質は上がった」と説明
この結果が注目される背景には、Googleの公式な説明があります。Google検索の責任者であるLiz Reid氏は、2025年8月の公式ブログで次のように述べていました。
GOOGLE LIZ REID氏の発言(原文)
Overall, total organic click volume from Google Search to websites has been relatively stable year-over-year. […] average click quality has increased and we’re actually sending slightly more quality clicks to websites than a year ago
日本語での要約
Google検索からWebサイトへのオーガニッククリックの総量は前年とほぼ変わっておらず、クリックの平均的な質はむしろ上がっている。質の高いクリックは前年よりわずかに多く送れている、という説明。
今回の研究では、AI Overviewsを見たあとにクリックしたユーザーと、見ていないユーザーとで、サイト上での行動(直帰や滞在時間)に差は見られませんでした。少なくともこの実験の範囲では、「クリックは減るが、その分クリックの質が上がる」という効果は確認されなかったことになります。
研究の限界も押さえておく
注意
この研究は米国・PC版Chromeの利用者のみ・1人2週間の実験です。スマートフォンでの検索や、日本の検索環境、AI Overviewsの表示率がその後変わった場合の影響は、別途検討が必要です。また、売上や収益への影響は測定されていません。「日本のECサイトでもクリックが4割減る」とそのまま当てはめるのではなく、自社のデータで確認する前提で読みましょう。
なお、AIモードのグループでは、外部クリックが1検索あたり0.53回から0.36回へ減少しました。ただし、AIモードの利用をやめて通常の検索に戻る参加者が多かったため、研究者自身もこの結果は参考値(記述的な結果)としています。
ECサイト・サイト運営者への影響
最も影響を受けやすいのは「情報系ページ」
研究の結果をECサイトに当てはめると、影響を受けやすいのは情報収集型の検索から流入しているページです。具体的には次のようなページが該当します。
- 「◯◯ 選び方」「◯◯ とは」「◯◯ 違い」などで流入しているコラム・ガイド記事
- 用語解説やお手入れ方法、使い方などのお役立ちコンテンツ
- 上位表示できている(特に1位の)情報系ページ
一方で、商品名や型番、ブランド名での検索、「◯◯ 通販」「◯◯ 購入」のような購入意図の強い検索については、今回の研究では明確な影響は確認されていません。ただし前述のとおりサンプルが少ないため、「商品ページは安全」と判断する材料にはなりません。
「満足度が変わらない」ことの意味
研究で見落とせないのが、ユーザーの満足度に差がなかった点です。これは、ユーザーはAI Overviewsでの回答に不満を持っておらず、クリックが減った状態が今後も続く可能性が高いことを示唆しています。
情報系の記事で集客し、そこから商品ページへ誘導するという導線を主力にしているECサイトほど、早めに現状を把握しておく必要があります。
| ページの種類 | 想定される影響 | 優先度 |
|---|---|---|
| 情報系コラム・ガイド(上位表示中) | クリック減少の影響を最も受けやすい | 高 |
| カテゴリページ | 「◯◯ おすすめ」など情報寄りの検索では影響の可能性 | 中 |
| 商品ページ | 購入意図の強い検索では今回の研究で明確な影響なし(ただし未確定) | 中 |
| ブランド名・指名検索 | ナビゲーショナル検索では明確な影響なし | 低 |
取るべき対応
まずは自社の数字を確認する
研究の数字をそのまま当てはめるのではなく、自社のデータで「どのページの、どの検索で」変化が起きているかを確認するのが第一歩です。
まず確認するチェックリスト
- ☑Search Consoleで、表示回数は維持しているのにクリック率(CTR)が下がっているページ・クエリを洗い出す
- ☑洗い出したクエリを「情報収集型」「購入意図型」「指名検索」に分け、どこで変化が大きいかを見る
- ☑CTRが下がったクエリを実際に検索し、AI Overviewsが表示されているか、自社が引用されているかを確認する
- ☑Search Consoleの生成AIパフォーマンスレポートで、AI機能からの表示・クリックの推移を確認する
- ☑GA4で、情報系記事から商品ページ・購入へ進んだユーザー数の推移を確認し、売上への影響度を把握する
「要約では足りない」情報を記事に入れる
AI Overviewsは、一般的な説明をまとめるのは得意です。一方で、自社でしか持っていない情報は要約しきれません。情報系ページは、クリックして読む理由があるコンテンツへと作り直していくことが重要です。
- 自社で実測したサイズ、比較テストの結果、スタッフの使用感など、独自の一次情報
- 診断ツールやシミュレーター、比較表など、ページ上で操作・比較できる機能
- 実際の購入者のレビューやQ&Aなど、自社に集まる生の声
これは、Googleが10月初めに更新した「有用なコンテンツ」の文書で示した、メインコンテンツの「労力」「独自性」の考え方とも重なります。
1つの集客経路に頼りすぎない
情報系記事からのオーガニック流入だけに頼る導線は、今後さらに不安定になる可能性があります。指名検索を増やすブランディング、メールマガジンやLINEなどの自社チャネル、ショッピング広告や商品データフィードの整備など、複数の経路で顧客と接点を持つ設計を合わせて進めておくと安心です。
まとめ
今回の研究のポイントを整理すると、次のようになります。
- 米国のPC版Chrome利用者1,065人を対象にしたランダム化実験で、AI Overviewsが表示された検索では外部サイトへのオーガニッククリックが約39.8%減少しました。
- 影響は情報収集型の検索と、検索結果の1位に集中していました。購入意図の検索では明確な差は出ていませんが、サンプルが少なく結論は出ていません。
- ユーザーの満足度やサイト上での行動には差がなく、「クリックの質が上がる」効果は確認されませんでした。
- 米国・PCのみ・2週間という限界があり、日本のECサイトへの影響は自社データで確認する必要があります。
当社としては、この研究を「AI Overviewsで流入が減るのは避けられない」という悲観材料ではなく、情報系コンテンツの役割と、集客導線の設計を見直すきっかけと捉えています。まずは自社の数字を確認し、クリックして読む価値のあるページづくりに取り組むことが、AI時代のSEOの土台になります。
SEO対策のご相談はお気軽に
株式会社ALL WEB CONSULTINGでは、ECサイトを中心に、SEO戦略の設計からコンテンツ改善、アルゴリズムアップデートの影響調査まで、実務に即した支援を行っています。AI Overviewsによる流入変化の分析や、AIの要約に埋もれない情報系コンテンツへの作り直し、集客導線の再設計など、今回の研究をふまえた具体的な対応もご提案します。お気軽にご相談ください。
株式会社ALL WEB CONSULTINGでは、AIをフル活用したEC支援を行っています。AIを活用することで、データ分析や改善施策の立案・実施を従来より大幅にスピーディーに進められ、成果までの時間を短縮できます。2,000サイト以上のサポート実績×AIで、貴社のECサイトの売上向上を支援します。初回のご相談は無料です。お気軽にお問い合わせください。
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この記事を書いた人
株式会社ALL WEB CONSULTING
代表取締役
江守 義樹(えもり よしき)
WEB解析士協会 上級WEB解析士
ネットショップ店長として0ベースからショップ運営を行い約1年で月商1,000万規模のショップに育成。
その後、ECサイト専門のコンサルティング会社に勤務し、月商数億規模のサイトから立ち上げたばかりの小規模なサイトまで数百社のECサイトのサポートを行う。
2018年に前身であるLOCUSコンサルティングを創業。
2020年ECサイト・ネットショップ支援に特化した株式会社ALL WEB CONSULTINGを創業し代表取締役に就任。
データアナリストとしてサイト解析を軸にした戦略的なSEO対策、サイト制作、WEBプロモーション、などEC支援全般のスペシャリストとして活動中。
マーケティングチーム
ALL WEB CONSULTINGのマーケティングチームです。
全国のネットショップをエンパワーメントするをミッションに、各専門家が集まってECサイトの支援を行っています。楽天・Amazonなどのモール系ECから自社ECまであらゆるECに役立つ情報を発信していきます。
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